参考になる事例を紹介
事例を見て具体的にイメージしよう
Aさんの事例
要介護2の認定を受けている78歳の女性、Aさんの事例です。Aさんは1人暮らしで人と会話をするのが好きな性格ですが、最近は近所の人と交流する機会が減りました。軽度の認知症があり、日常生活に支障が出ている状態です。近くに息子さんが住んでおり、週に2回ほどサポートしています。
アセスメントでは本人と息子さんから現在の生活状況をヒアリングしました。その結果、認知症の影響により料理と服薬管理が難しくなっていることが判明しました。しかし、協力を得られるのは息子さんのみの状況です。Aさん自身はできる限り自宅での生活を望んでおり、その意向にAさんも協力的です。とはいえ、息子さんは仕事の関係で訪問する回数を増やすことはできません。情報収集の結果、Aさんは認知症が進行しやすい環境にあり、このままでは安全な生活が難しくなっていく可能性が高いため、在宅での生活を維持しつつ必要なケアを提供できる状況が望まれると判断されました。そのため、Aさんには週2回のデイサービスと、その他の日の訪問介護の利用をすすめ、その上で息子さんが服薬管理カレンダーを使用した服薬管理の支援をしてもらうことにしました。料理に関しては、訪問介護のスタッフがいるときはAさんと一緒に行い、協力者がいない時は温めるだけで食べられる食事を用意します。このように、本人と息子さんが希望する生活にできるだけ近い環境を整え、なおかつ認知症の進行を予防しながら安全に過ごせるようになりました。
Bさんの事例
要介護3の認定を受けている89歳の男性、Bさんの事例です。息子夫婦と同居しており、家族からの支援を受けている状況です。最近は夜間のトイレの頻度が増え、その介護の負担が家族間での課題となっています。
アセスメントでは本人と息子夫婦に夜間のトイレの様子などをヒアリングしました。Bさん自身は自宅での生活を望んでいますが、息子夫婦は夜間の介護が大きな負担になっており、眠れない日々が続いている状況です。Bさんを支援したいとは思っているものの、介護の経験はほとんどなく、排せつケアの対応が難しいと感じています。情報収集の結果、Bさんが自宅で生活するためには息子夫婦の支援が必須であるものの、このままでは息子夫婦が健康的に過ごせない可能性が高いことが判明しました。そこで、夜間訪問介護の利用、排せつケアに適した用品の利用、適切な介助方法をスタッフと家族で共有することをすすめました。加えて、息子夫婦の休息のためにショートステイを月に1回利用するように計画を立てました。その結果、トイレ問題は改善され、家族の負担も軽減され、全体的な生活の質が向上したそうです。